「モチベーション」を高め、持続する「カラダ」とは

この記事はフィットネス&コミュニティ代表の島脇伴行が記載しました。

 

記述者紹介
島脇伴行(Tomoyuki Shimawai)
アメリカスポーツ医学会認定 運動生理学士
株式会社フィットネス&コミュニティ代表 https://fitness-community.jp
プライベートジム BODY DIRECTOR代表 https://bodydirector.com

 

<モチベーションが上がらないし持続しない>
30代、40代の頃に比べて、仕事や趣味にモチベーションが上がらないようになってきたように感じる。やる気が出ても集中力やモチベーションが長続きしないというか、続けることに対してストレスを感じているようにも思う。この歳になってからも、何か物事をやり遂げて成果を出したいという気持ちがあるけれど、空回りしている。これは年齢によるものなのだろうか。だとすると、自分の体や脳で何が起こっているのだろう。改善できるものであれば取り組んでみたい。

 

 


 

<目次>

1、モチベーションとは

2、なぜ今、モチベーションが大切なのか

3、モチベーションが高まるとはどういうことか

4、「モチベーション」と「カラダ」の深い関係

 


 

 

1、モチベーションとは

 

まず、モチベーションとは何かをwikipediaで検索してみると以下の解説になる。

 

動機づけ(どうきづけ、モチベーション)とは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能。 <引用/wikipedia>

 

つまり「目標に向かって行動をとるための機能」という意味だ。

 

しかし、今回記述する内容は、神経科学(脳科学とも言われる)の観点から話をするので、上記とは少々意味が変わる。

 

【神経科学から見たモチベーションの解説】

 

モチベーションは以下の3つの行程によって説明できる。

 

 例えば、来月から給与が上がると会社から発表があったとする。どうやら世間の物価の上昇に合わせて一律で上げることになったようだ。「この発表は不意打ちで、給与が上がるなんて事を予想をしていなかったので、会社のこの決定に驚いたし嬉しさが込み上げてきた。

 

この給与アップが「1つ目の工程」モチベーターにあたる。

 

次に、喜びや、ウキウキが込み上げてきた状態。これが「2つ目の工程」モチベーション・メディエータとなる。メディエータとは「仲介者」という意味で、モチベーターによってモチベーションを上げる仲介者という意味。

 

そして、モチベーション・メディエータによって身体が反応している状態に気が付くこと、つまり、予想外の給与アップに対して嬉しさが込み上げてきた状態に自分でも気がついている状態。これが神経科学的にいうモチベーションということになる。

 

*分かりやすい例として給与アップをあげたが、単に給与が上がるというモチベーションは長くは保てない事が分かっている。それは、上がった給与に慣れてしまい、そうなると脳への刺激とならないからである。脳は新たな刺激をモチベーターとするからだ。

 

 

2、なぜ今、モチベーションが大切なのか

 

モチベーションは「よりよく生きていく」ことと関連することがいくつもの研究でも明らかにされつつある。
その理由として、ヒトは何か行為を行うときに、何らかの動機が必要になるからである。
意識しているか、それともしていないかは別として、行為を行うには理由が必要になる。

 

<食事(食欲)を例に説明すると>

 

ヒトは生きていく上で食事というカロリーと栄養素が必須である。この摂食という行為がなければエネルギーが作られず、ヒトは生きていくことができない。
でも、「生きていくために食べよう」と先進国に住んでいる我々は考えない。理想の栄養ではないとしても、エネルギーを摂ることは皆できるようになった時代である。

 

それよりも、「美味しいものを食べたい」「体の健康に良いものを食べたい」そして何より「お腹が減ったから食べたい」という動機(欲求)で食べる。
この動機となる欲求があるからこそ、我々、人は摂食という行動をとることになる。

 

食という、生理的な欲求が満たされると、ヒトは次により高次な欲求を満たすよう行動を始める。

 

アメリカの心理学者、マズローの欲求段階説で有名になったが、自己実現欲求に向けてヒトの動機は段階的に進むと考えられている。

 

 

このように人は次の欲求を求めてサーバイブするように、それが基本設定として遺伝子に組み込まれている。

 

人生を送る中で、紆余曲折があり、人生をネガティブなものとして捉えたとしよう。中年くらいまで生きてくると多くの人にこのような経験があると思うが、自信が持てない時は、ある事に対して興味が現れたとしても、「また失敗するのではないだろうか」なんて事を考えてしまい、新しいチャレンジが難しくなる。

 

このように、興味があっても「できない、やらない」という時期が長くなると、人生に対する張り合いが少なくなっても不思議ではない。

 

モチベーションは神経科学的に言うと、ウキウキしている状態を自分で感じること、なので、偶然のラッキーによってその状態がもたらされるという、セレンディピティ的なものもいい。
でも、それ以外に、自分で自分をコントロールしてモチベーションがある状態を作り、人生を張り合いのあるものにするのも悪くないのではないだろうか。

 

このように、自分自身の気分が高揚する状態を作り、それを維持していくという事も、よりよく生きていく上で重要だと私は考える。 

 

そして、若い頃はモチベーションと関係が深い、脳の「前頭前野」という部分が刺激されやすいが、年齢を重ねてからも、様々な方法で、この前頭前野を刺激することができる。
歳だからといって諦めてしまう理由は一歳ない、ということも同時に知っていただきたい。

 

 

3、モチベーションが高まるとはどういうことか

 

モチベーションと脳の関係を説明すると、それには「報酬系」と呼ばれる脳内のネットワークが深く関係している。この報酬系が脳内ホルモンである「ドーパミン」によって刺激されると、ヒトは幸福感や気分良さを感じる。

 

<ドーパミンの特徴>

 

とてもシンプルに説明すると、ドーパミンによって、「報酬系」が刺激され、モチベーションの状態が作られ易くなるということだ。

 

このドーパミンを上手に活用することが、「モチベーションを高める」「モチベーションを持続させる」ということに関わってくる。

 

そして、このドーパミンはワクワクするという感覚を我々に与えてくれるが、その感覚は通常長くは持続しない。

 

<ドーパミンが低下するパターン>

 

例えば仕事で新しいプロジェクトの立ち上げメンバーになったとしよう。
ドキドキ、ウキウキした気持ちでキックオフミーティングに参加し、新しい業務に心が高ぶっている状態を自分で認識している。
しかし、全てのことが順調に次々と進むわけではない。初めての業務に難しさを感じることや、自分の知識や情報量が足りないと実感することもあり、「正直しんどいな」と思う機会も増えてきた。

 

その時、脳内は、プロジェクトを始めたばかりのドーパミンに満たされている状況とは異なっていて、ノルアドレナリンというホルモンが分泌されている。
このホルモンの分泌がドーパミンよりも優位になっている状態が持続的に続くことで、身体はストレス反応を起こす。この状態が更に続くことで、プロジェクトに対するウキウキよりも、難しい、辛い、とういう感情が強くなってしまう。

 

ドーパミンが低下する理由として、物事に「飽きてしまう事」「上手くパフォーマンスが発揮できない」「目の前の出来事が理解できない」などがある。

 

これらの問題に上手に対応していくことが、持続的にモチベーションを高める上で特に重要となる

 

例えば「飽きてしまう事」への対応として、プロジェクトミーティングを普段とは違う場所で行う。ファシリテーターを違う人が行ってみる。などの工夫を入れることで回避できることがある。
また、より高次に行うのであれば、「苦しい過程は自身の成長に繋がる」ということを信じることができる状態であれば 多少の困難は「後の成長の糧」として前向きにとらえることができ、ドーパミンを自らの意志で発動させることができるようになる。

 

また、困難な状況からドロップアウトし易い特徴として、経験不足や、成功経験が少ないことが上げられる。困難な事も分解すると、実はシンプルだということを知っていて、一つ一つ問題を解決することができる。という経験を積む事によって、目標に近づくことができるというケースを知ることが、脳内のノルアドレナリンとドーパミンのバランスを整え、モチベーションを無くさずに進むことができるようになる。

 

 

4、「モチベーション」と「カラダ」の深い関係

 

<カラダを整えることで、モチベーションが発動される脳の高次機能を使うことができる>

 

モチベーションは身体の状態と深い関係にある。
以前記述した健康経営のブログで業務パフォーマンスを低下させる要因として「睡眠不足」というエビデンスを紹介したが、睡眠不足では集中力に加え、モチベーションが低下する。

 

<Blog 健康経営の効果>
https://bodydirector.com/blog/2022-07-27/ 

 

体調不良の時もモチベーションはうまく発揮されない。二日酔いの時にモチベーションが高められないことは、飲み過ぎの経験がある方なら想像できるだろう。
このように、モチベーションを高めるには「体調を整える」必要がある。

 

<脳内のワーキングメモリと疲労>

 

 

脳内には情報処理を担当する作業場があり、それをワーキングメモリと呼んでいる。ワーキングメモリの作業量が増える、情報量が増える事によって情報処理の速度と精度が低下する。
それによってイージーミスや判断ミスをしてしまう可能性が高まる。

 

人はマルチタスクといわれる、複数同時処理が苦手なのもこのワーキングメモリの機能によるものだ。人間がマルチタスクを行うときは、いわゆる起動中のパソコンOSを切り替えて再起動して新しいOSを立ち上げるようなもので、例えるとMacでBoot Campを何度も起動させるようなものだ

 

このような脳の疲労は身体の疲労にも繋がるものであり、脳の疲労をとる工夫が有効な手立てとなる。

 

<デフォルトモード・ネットワーク>

 

あなたは瞑想を行ったことがあるだろうか。
瞑想に取り組んでいる時は無心になろうとする。しかし、頭の中で何らかの意識が働いて、なかなか無心になれないことを体感することになる。これが訓練によって、徐々に無心の状態。「ぼうっと」した状態を作り出す事ができるようになってくる。
この時にワーキングメモリにある、情報やアイデアや複雑に絡み合ったものが整理され、必要なものは長期記憶に保存されるなど、ワーキングメモリの空き枠を増やしてくれる事になる。
これがつまり、脳が休まるということになる。オーバーヒートを回避するというイメージ。
このような状態は瞑想だけでなく、他の行為によっても作り出すことができる。

 

「それは運動だ。」

 

ジョギングのように、極力無心で行うことができる種目がお勧めだ。筋トレもその行為に集中して行うことで同じような効果が得られる可能性もある。

 

また、運動だけではなく、身体の状態を整えるには、栄養も関わりが深い。
脳と身体のダメージは以下3つにアプローチをする、詳細は今後の記事で紹介する予定。
個人差を考慮して、足りすぎている栄養素や、身体に影響を与える食品添加物や化学物質をカットする。足りない栄養素を適量摂る。というアプローチによって、身体の状態が向上し、それがモチベーションを高め、それを持続することに繋がる。

 

記述者、島脇の情報一覧はこちらより

https://lit.link/shimachannel

フィットネス&コミュニティのコーポレートサイトはこちら

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