健康な脳を作るトレーニング

【認知症は国家プロジェクト】

 

以下、「認知症の現状と予備軍」を政府広報オンラインより抜粋。イメージしている以上に数が多いと思うかたもいるのではないでしょうか。

 

我が国では高齢化の進展とともに、認知症の人数も増加しています。65歳以上の高齢者では平成24年度の時点で、7人に1人程度とされています。なお、認知症の前段階と考えられているMCI1)の人も加えると4人に1人の割合となりますが、MCIの方がすべて認知症になるわけではありません(下図参照)。また、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続けると予想されています。(政府広報オンラインより抜粋)

 

 

※1:MCI=Mild Cognitive Impairment

正常と認知症の中間ともいえる状態のことだが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない。MCIの人のうち年間で10~15%が認知症に移行するとされている。

 

政府は対策として、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる「認知症施策推進大綱」を2019年に策定しています。

 

【認知症予防】

 

認知症予防はシルバー層になってから行うことも有効ですが、発症まで20年はかかると言われています。将来の発症リスクを下げるために、早期にリスクファクターを減らすことをお勧めします。

 

「認知症施策推進大綱」によって支援の部分が手厚くなっていることが確認できます。一方、予防に関して、具体的なアプローチが弱いように感じます。

そこで、

①先ずは認知症の数が今後どのように増える予測なのかを確認し、

②今の時点で認知症について分かっている。エビデンスを下記に記載しました。

この②にある「予防の部分」について深掘りしてみます。

 

1、 認知症数の予測推移

 

各年齢の認知症有病率が一定の場合の将来推計率(%)各年齢の認知症有病率が上昇する場合の将来推計率(%)
平成24年(2012)15.015.0
平成27年(2015)15.718.0
令和2年(2020)17.218.0
令和7年(2025)19.020.6
令和12年(2030)20.823.2
令和22年(2040)21.425.4
令和32年(2050)21.827.8
令和42年(2060)25.334.3

 

(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)による速報値を記述者、島脇がグラフ作成)

 

2、現時点でのエビデンス

 

認知症の事実

1.  2025年には高齢者の2割が認知症になる

2. 認知症の3分の2はアルツハイマー型

3. アルツハイマー型認知症は発症までに20年以上かかる

4. 現代の医学で「認知症を治す」ことはできない

5. 認知症になるとフレイルにもなりやすくなる

6. 認知症リスクの40%は予防可能

7. 有酸素運動には認知症予防の効果がある

8. バランスが取れた食生活は認知機能の低下を抑える

9. 先進技術によって早期発見も可能に

10. 政府は認知症と「共生」できる社会を目指している

日経BP 老化はこうして制御する100年ライフのサイエンス HEALTH SPAN健康寿命を延ばす 04 鳥羽研二 認知症 より抜粋

 

3、アルツハイマー型認知症は発症までに20年以上かかる

この病気は風邪などの病気と違って発症までにかなりの時間を要すると考えられています。若いうちから運動習慣をつけることや、下記に詳細を記載しているバランスの取れた食生活を行うことが大切です。

 

5、認知症になるとフレイルにもなりやすくなる

 

フレイル(虚弱)とは加齢とともに筋力に加えて、その他身体機能、認知機能が低下した状態のこと。認知症になるとフレイルになるリスクがありますが、逆にフレイルになると認知症にもなりやすくなるとも考えられています。普段から筋肉が衰えないように、筋肉に刺激をかける運動を行うことが勧められます。

 

6、認知症リスクの40%は予防可能

医学誌のランセットに掲載されたレポートによると、認知症の40%は修正が可能な危険因子によるものであるとされています。それら12の危険因子を改善することで理論上その40%が予防可能とされています。

「認知症12の危険因子」

◯45歳未満

・教育不足

 

◯45〜65歳

・難聴

・頭部外傷

・高血圧

・過度の飲酒

・肥満

 

◯66歳以上

・喫煙

・うつ病

・社会的孤立

・運動不足

・大気汚染

・糖尿病

 

7、有酸素運動には認知症予防の効果がある

以下、独立行政法人 国立長寿医療研究センター「認知症予防マニュアル」より引用

とくに有酸素運動の実施とアルツハイマー病発症予防との関連は多くの知見が得られており、MCI高齢者に対する運動の効果を検証したランダム化比較試験の結果が報告され、限定的ではあるが認知機能に対する効果を認めている。

運動が認知症予防に有力な説として

神経系の内分泌反応の改善や血管が新しく作り替えられること。神経細胞(ニューロン)の抗炎症作用などがまず考えられる。

また、アミロイドβの蓄積(アミロイドβとは老人斑の大部分を占めるタンパク質)がアルツハイマー型認知症と関係することが分かっており、それを抑制するタンパク質「ネプリライシン」が運動によって脳内活性が高まると言われている。

 

もう一つ、脳由来神経栄養因子(BDNF:brain deriver neurotrophic factor)という物質が、海馬の増殖を促すことが知られている。これにも運動が関与していて、有酸素運動の中でもインターバルトレーニングが有効との研究もある。インターバルトレーニングとは例えば1分間ハイレベルまで心拍数を高め、次の1分間は心拍数を下げる。といったセット運動の繰り返しのことを言う。

 

8、バランスの取れた食生活は認知機能の低下を抑える

 

バランスの取れた食生活といっても、厳密には人それぞれ欠乏しているか足りていない栄養素、または過剰になっている栄養素は違うことを先ず理解すること。その前提で一般的なアドバイスを記載します。

まず、アルコール摂取については「コペンハーゲン心臓研究」ではアルコールを全く飲まない人より、適度に飲む人の方がアルツハイマーになりにくいとある。赤ワインが特に効果的である。もちろん飲み過ぎや体質的にアルコールが全くダメな方は摂取を控えるべきでしょう。

 

そして、有害金属について。アルミニウム、水銀、その他の有毒な金属がアルツハイマーと関連があると考えられている。アルミニウムはアルミ鍋からも溶け出すと言われている。水銀は昔歯科医が詰め物として用いていたアマルガムという物質から溶け出すと考えられているが、現代そのような詰め物を入れる歯科医はいないでしょう。しかし、何十年も歯医者に行っていない人は一度受信してみるといいでしょう。

また、食物連鎖の観点から、マグロのような大魚からも水銀被害が考えられるので、食べ過ぎは注意が必要です。(アメリカでは妊婦及び妊娠する可能性がある女性は1回80g、週1回以下、といった基準を設定しています。)

 

酸化ストレスもアルツハイマーを誘発するリスクと言われています。酸化ストレスとは「体を傷つける活性酸素が、それを除去する抗酸化を上回った状態」のこと。

抗酸化方法は様々な方法があり、例えば食品ではビタミンA,C,EやコエンザイムQ10、亜鉛、ビタミンDなど上げるとキリがないのですが、自身の判断で実施する際は体内に溜まりにくい水溶性ビタミンであるビタミンCから始めるといいでしょう。また、エビデンスはまだ十分ではありませんが、オメガ3系のオイルもアルツハイマーに有効かもしれません。

 

さらに、血液中のホモシステイン濃度が高い場合、アルツハイマーの罹患率が上がります。ホモシステインとはアミノ酸の一種のメチオニンの代謝副産物として作られるアミノ酸です。

この代謝に必要なものがビタミン12や葉酸です。(葉酸は代謝が苦手な体質の人もいるので自己判断での摂取は控えてください)ですので、これら栄養素が不足している場合にホモシステイン濃度が上がり、アルツハイマーの罹患率が高まります。

 

9、先進技術によって早期発見も可能に

 

認知症の60%がアルツハイマーと言われています。医師による問診や認知機能テストを行いますが、それだけでは診断を確定することは難しく、次に専門の検査を行うことになります。

 

*アルツハイマーの原因とされているアミロイドβというタンパク質を測定する検査

 

アルツハイマー型認知症の診断には従来、脳内のΑβの蓄積を可視化するアミロイドPET検査や、脳脊髄液を用いた検査が行われてきました。しかし、アミロイドPET検査は検査施設が少ないうえ、保険適用外で高額な費用がかかること、脳脊髄液検査は背中に針を入れて採取を行うことから患者さんにとって負担が大きいため、より侵襲度が低く、頻回に測定できる診断法が必要とされるようになりました。sysmexウェブサイトより引用

https://www.sysmex.co.jp/stories/211130.html

 

その他の検査として、東京都健康長寿医療センターの鳥羽研二理事長はAPOE(アポイー)という遺伝子に注目している。これから数年内にはいくつかの検査が実装される可能性がある。

 

このように、認知症患者がこれから益々増えると考えられる中、運動や栄養がその罹患リスクを下げることに繋がることが分かります。早い段階から、将来の健康を考えて行動できることに期待します。ただ、頭では運動が体や脳に良いことは分かっても、なかなか実施できないという方が多いことも事実です。その対策として疾患の0次予防として、そのコミュニティにいるだけで健康になるという取り組みを国の政策として取り組むことも重要だと考えています。

 

私も今は具体的なイメージが出てきませんが、そのようなプロジェクトに将来的に参加できると嬉しく思います。

 

また、この記事はあくまで文献などからの情報を集めたものであり、私自身が治療を行う医療従事者でないこともご承知おきください。

これからも健康作りに有益な情報を公開して参りますので、引き続きご覧いただけると嬉しく思います。

 

記述者、島脇の情報一覧はこちらより

https://lit.link/shimachannel

フィットネス&コミュニティのコーポレートサイトはこちら

https://fitness-community.jp/

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