スクワットで脚は太くなるのか細くなるのか 筋肉の仕組みから考える

スクワットで脚は太くなるのか細くなるのか 筋肉の仕組みから考える

TOMOYUKI SHIMAWAKI(島脇 伴行) トレーナー/ヘルスコーチ|BODY DIRECTOR

参考文献:査読済み臨床試験・系統的レビュー

この記事でわかること
  • スクワットで脚が太くなるのは失敗ではなく、種目本来の性質によるものだと理解できる
  • なぜ前ももが張るのか、スクワットがどの筋肉を鍛える種目なのかという仕組みからわかる
  • 脚を細くしたい人にとって、スクワットが第一の選択肢とは限らない理由がわかる
  • 同じ人がスクワットで脚が太くなり、別の運動で細くなる、その違いを「筋肉のサイズ」という一つの原理から理解できる
  • 筋肉質タイプかどうかなど、体質によって向き合い方が変わること、自分に合った進め方をどう考えればよいかがわかる

「脚を細くしたくてスクワットを始めたのに、前ももが張って、むしろ太くなった気がする」。こうした声を、私は本当によく耳にします。一方で「スクワットで脚やせできた」という人もいます。同じ運動なのに、なぜ正反対のことが起きるのでしょうか。その答えは、根性でもフォームの細かなコツでもなく、筋肉の仕組みにあります。この記事では、スクワットで脚が太くなるのか、細くなるのかを、筋肉という観点から正直に考えていきます。脚の悩みを抱える方に、ぜひ知っておいていただきたい話です。

<体験談> 脚を細くしたくて始めたのに、前ももが張ってしまった

よくあるパターンがあります。「脚を細くしたくてスクワットを毎日頑張ったのに、前ももがパンと張って、かえって太く見えるようになってしまいました」とおっしゃる方です。とてもまじめに取り組まれていて、回数もしっかりこなしている。それなのに、望んだ方向と逆に進んでしまった、と落ち込んでいらっしゃる。

こういうとき、私はまずこうお伝えします。それは失敗ではありません、と。フォームが下手だったからでも、努力が足りなかったからでもない。実は、スクワットという種目の性質を考えれば、ごく自然に起こりうることなのです。まずはそこを、誤解のないようにお話しさせてください。

スクワットで脚が太くなるのは、失敗ではなく当然のこと

そもそもスクワットは、下肢の筋力トレーニングです。つまり、筋肉を増やすことが主な目的の種目です。ですから、続けていけば脚が太くなる方が現れるのは、当然のことなのです。とりわけスクワットは、太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん。ももの前面にある大きな筋肉)を鍛える種目ですから、前ももが張ってくるのも、種目の性質そのままの結果です。

これは、強調しておきたいことです。前ももが張る、脚が太くなる。それは、あなたのやり方が間違っていたわけでも、失敗したわけでもありません。筋肉を増やすための種目で、実際に筋肉が増えた。ただ、それだけのことなのです。問題があるとすれば、「脚を細くしたい」という目的と、「筋肉を増やす」というスクワットの性質が、もともと違う方向を向いていた、という点にあります。

Research — European Journal of Sport Science, 2017

PubMedで確認できる研究では、運動習慣のない人が8週間、スクワットを中心とした筋力トレーニングを行ったところ、太ももの前(大腿四頭筋)の断面積がおよそ6%増加し、スクワットで扱える最大重量は約28%も向上しました。つまり、スクワットを続ければ、太ももは実際に太くなります。これは数字で確かめられた事実であり、「太くなった」という実感は、けっして気のせいではないのです。

Research — Auburn University 研究グループ, 2023

PubMedで確認できる別の研究では、9週間のスクワットで太ももが明確に発達しました。興味深いのは、お尻(臀筋)の発達を比べると、スクワットも、お尻を狙うヒップスラストという種目も、同じくらいお尻を発達させたという点です。一方で、太ももの発達はスクワットのほうが大きくなりました。これは、お尻を鍛えたいだけならスクワット以外の選択肢もあること、そしてスクワットはやはり太ももを主役に育てる種目であることを示しています。

では、脚を細くしたい人はどうすればいいのか

正直に申し上げます。脚を細くしたいという方に、私はそもそもメインの種目としてスクワットを行うことを、あまりおすすめしません。意外に思われるかもしれません。けれど、筋肉を増やす種目を一生懸命やって脚を細くしようとするのは、方向が噛み合っていないのです。

もちろん、スクワットにもさまざまなバリエーションがあります。足幅や姿勢を変えることで、膝寄りの太もも(前もも)を主に使うのか、股関節寄りの筋肉(お尻やもも裏)を主に使うのかを、ある程度は使い分けることができます。ですから「スクワットは絶対にダメ」という話ではありません。ただ、脚を細くしたい方にとって、最初に選ぶべき第一の種目がスクワットかというと、そうとは限らない、ということです。筋肉を大きくする方向の運動と、筋肉を大きくしすぎずに使う方向の運動とでは、向かう先が違うのです。

同じ人が、太くもなり細くもなる理由

他社での、こんな話があります。痩身も兼ねてトレーニングをしていた方が、基本種目だからとスクワットを続けていたところ、脚がたくましくなってしまった。そこで、流行のピラティスに切り替えたら、今度は脚が細くなった、というのです。これを聞くと「ピラティスには脚やせの魔法があるのか」と思われるかもしれません。けれど、私からすると、至極当然の話です。

理由はシンプルです。スクワットで脚がたくましくなったのは、筋肉をつけすぎたから。そしてピラティスで細くなったのは、ピラティスの種目の中に、大腿四頭筋を大きくするような動きが、通常の筋力トレーニングほどは含まれていないからです。使わなくなった筋肉のサイズが落ちて、その結果、脚が細くなった、ということなのです。太くなったのも細くなったのも、すべて「筋肉のサイズ」という一つの原理で説明がつきます。魔法ではなく、仕組みなのです。

<体験談> 使う場所と種目を変えたら、脚のラインが変わった

よくあるパターンです。前ももの張りに悩んでいた方に、メインの種目を見直していただいたことがあります。前ももでぐいぐい踏ん張る動きから、お尻やもも裏を使う動き、そして筋肉を大きくしすぎない方向の運動へ。そのうえで、その方の体質や目的に合わせて、組み立てを変えていきました。

しばらくして、脚のラインやお尻の形が変わってきたとき、ご本人がとても驚いていらっしゃいました。やみくもに回数を増やすことでも、特別な裏ワザでもなく、「どこを、どう使うか」「何を目指すか」を、その人に合わせて選び直しただけです。けれど、それこそが、いちばん確かな道なのです。

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大切なのは、自分の体質と目的に合わせて選ぶこと

ここまでお読みいただくと、見えてくることがあります。「脚やせには絶対にスクワット」でもなければ、「スクワットは絶対にダメ」でもない、ということです。大切なのは、その人の体質と、目指す方向に合わせて選ぶことです。

特に注意したいのが、体質です。もともと体型が筋肉質タイプの方は、いわゆる普通のスクワットを行うと、脚が太くなりやすい傾向があります。同じ運動をしても、筋肉のつきやすさは人によって大きく違うのです。ですから、ある人にとっては良い選択が、別の人にとってはそうでないこともあります。雑誌やSNSで「これで脚やせ」と紹介されている方法が、あなたの体質に合うとは限らないのです。

だからこそ、自分の体質を知ることが出発点になります。筋肉がつきやすいのか、今どこの筋肉を主に使えているのか、何を目指したいのか。BODY DIRECTORでは、体に触れて状態を確かめ、その方の体質と目的を見極めたうえで、完全個室で人目を気にせず取り組んでいただける環境を整えています。脚の悩みは繊細なものですから、安心して向き合える場であることも、私は大切にしています。

01
目的を確かめる
脚を細くしたいのか、筋肉をつけたいのか。目的によって選ぶ運動はまったく変わります。
02
体質を知る
筋肉質タイプは太くなりやすい傾向があります。自分の筋肉のつきやすさを把握します。
03
種目を選び直す
細くしたいなら、筋肉を大きくしすぎず使う方向へ。種目の性質を理解して選びます。
04
情報を鵜呑みにしない
「これで脚やせ」が自分に合うとは限りません。体質に照らして判断します。

スクワットそのものが体にもたらす効果については、別の記事で詳しくまとめています。あわせて読みたい方は、スクワット効果の新事実:科学が証明する8つの驚きのメリットもご覧ください。脚やせという視点だけでなく、スクワットが持つ幅広い価値が見えてきます。

注意点・エビデンスの限界について

筋肉のつき方や体質には、年齢・性別・骨格などによる大きな個人差があります。この記事で述べたことが、そのまますべての方に当てはまるわけではありません。また、紹介した研究は主に運動習慣のない人を対象とし、期間も限られています。脚の太さには、筋肉だけでなく、脂肪やむくみ、姿勢なども関わります。自己判断で極端な方法に走るのではなく、自分の体質と現在の状態に合った方法を、専門家と一緒に見極めていくことをおすすめします。

まとめ 太くなったのは失敗ではない

スクワットで脚が太くなるのも、別の運動で細くなるのも、突きつめれば「筋肉のサイズ」という一つの仕組みで説明できます。スクワットは筋肉を増やす種目ですから、続ければ太ももは太くなります。それは失敗ではなく、種目の性質どおりの、ごく自然な結果です。前ももが張って悩んでいた方も、どうかご自分を責めないでください。

大切なのは、その先です。自分は何を目指すのか。自分はどんな体質なのか。それによって、選ぶべき運動は変わります。脚を細くしたいなら、筋肉を大きくする方向ではなく、大きくしすぎずに使う方向へ。そして、その見極めには、自分の体を正しく知ることが欠かせません。流行りの方法に飛びつく前に、まず自分の体と目的に立ち返ること。それが、遠回りに見えて、いちばん確かな美脚への道です。

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References
  1. Tavares LD, de Souza EO, Ugrinowitsch C, et al. Effects of different strength training frequencies during reduced training period on strength and muscle cross-sectional area. Eur J Sport Sci. 2017;17(6):665-672. doi:10.1080/17461391.2017.1298673(PubMedにて確認)
  2. Plotkin DL, Rodas MA, Vigotsky AD, et al. Hip thrust and back squat training elicit similar gluteus muscle hypertrophy and transfer similarly to the deadlift. 2023. doi:10.1101/2023.06.21.545949(PubMedにて確認)
Author
島脇 伴行(しまわき ともゆき)
BODY DIRECTOR 代表 / アメリカスポーツ医学会認定・運動生理学士 / ヘルスコーチ

1977年生まれ。2002年パーソナルトレーナーとして開業。2005年、日本で初めてとなる完全個室の表参道プライベートジム「BODY DIRECTOR」を設立。

クライアントはエンターテイメント業界のアーティストや企業経営者が中心。筋トレだけでは健康効果に限界があるとの考えから、生化学を基にした栄養指導、自律神経系の調整に有益な整体をパーソナルセッションとして提供。

法人クライアント:ポニーキャニオン(IRORI Records)、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス、トイズファクトリー、トランジットジェネラルオフィス、ラストラムミュージックほか。

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