おはようございます、こんにちは、こんばんは! トレーナーの島脇です!
こちらの記事で、発声のメカニズムと全身のトレーニングの重要性についてお伝えしました。
今回は、さらに深掘りして「発声のためのセルフメンテナンス」を解説します!
・アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士
・株式会社フィットネス&コミュニティ代表
・プライベートジムBODY DIRECTOR代表
・YouTubeチャンネル
目次
Toggleこの記事でわかること
- ・歌うことを生業としている方
- ・人前でお話しするお仕事の方
- ・営業でプレゼンの機会が多い方
- ・ヨガインストラクターなど
- ・声で人に伝える精度を高めることでパフォーマンスの向上を目指される方
なぜ、発声の時にウォームアップが必要なのか?
皆さんは発声時のウォームアップはどのような方法でされていますか。声帯を徐々に慣らしながら、ストレッチポールで背骨や筋膜をほぐすようなやり方ですか。それとも汗をかくくらい筋肉を温めるような方法でしょうか。
全身の神経の繋がりを良くし、声帯周りのコントロールも行いやすくなります。独自のやり方を皆さんお持ちだと思いますが、ウォームアップの目標は、神経のつながりを整える事、筋肉の温度を高めて動きやすくする事にあります。
それがパフォーマンスを発揮することに深く関わっています。
発声に関連が深い筋肉について
発声は、体全体の機能が関わっている全身運動と言えます。
納得のいく発声を手に入れるためには、声が出るメカニズムと全身トレーニング(筋トレ)の必要性を理解することが大切です。
頭の中で身体のどこの筋肉が動くのかというイメージを持つことで、体は動きやすくなっていきます。 こちらの記事では『呼吸』と『声帯まわりの筋肉』を中心に解説しました。本記事では、『体全体で発声に関わる筋肉』に着目して解説します。
前面から見た筋肉
こちらは体を正面から見たときに外から見える「骨格筋」と呼ばれる筋肉です。 表層・中層・深層の三層あると考えられています。
上から、発声に深く関与している筋肉は、頸部、胸(肋骨を含む)、腹筋群(体幹)です。
一般的に体幹と呼ばれる部分は腹部のイメージかと思いますが、専門的な視点で捉えると股関節の筋肉も体幹に含まれます。
背面から見た筋肉
後頭部
首の後ろの筋肉は努力呼吸をした時に緊張しやすい場所です。
体幹(背筋)
背筋群は、姿勢を支える筋肉として重要です。
骨盤部(臀部)
骨盤部は大きな関節である股関節がありますが、臀部の筋肉が脚と接着していることで、骨盤を安定させる作用も持っています。
前方から見た筋肉も、背面から見た筋肉も、呼吸筋が機能的に働くように姿勢を支える重要な筋肉群です。
発声に直接関連する筋肉
呼吸筋は発声に直接関連する筋肉です。前面では、胸鎖乳突筋、斜角筋、内肋間筋、腹直筋です。
胸鎖乳突筋・斜角筋
頸部と共に頭、首を支える筋肉です。ただ、厄介な特徴も持っていて、それは、緊張などのストレスから張りやすくなる筋肉です。歌唱の本番前などの緊張や長期的なストレス時にも影響を受けやすい部分です。日頃のケアや心理面のコントロールで緊張を和らげることが声帯の思い通りにコントロールすることに繋がります。
内肋間筋
努力呼吸時、息を吐くときに使われます。腹直筋も吐く時に収縮します。
腹横筋
直接の呼吸筋ではありませんが、呼吸筋を支えるために、腹筋まわり(胴体)を支える重要な部分となります。
さらに背部から見ると胸鎖乳突筋、上後挙筋、肋骨挙筋があります。
上後挙筋・肋骨挙筋
上後挙筋、肋骨挙筋は息を吸う時に使われる筋肉です。硬く収縮しづらい状態になることで呼吸が浅くなったように感じます。これらも緊張やストレスに影響を受けやすい部位です。また、肋骨挙筋は深部にあり、努力呼吸時に肋骨を引き上げて中にスペースを作ります。そうすることで取り入れる空気の量を調整します。
下後鋸筋
肋骨を下から支える筋肉です。胴体の動きに安定感をもたらす作用もあります。
こうして解剖図から観察すると、発声には全身の筋肉が関わっているのがわかります。
セルフケア(ストレッチ)の方法
呼吸筋や首周囲の筋肉は、普段の生活やストレスに大きく影響を受けます。 それらを考えると、日常でセルフケアを行うことがパフォーマンスを保ち、向上させていくために必要です。
今回は背骨と首、二つの部位のケア方法をお伝えします。
背骨の調整方法
ストレッチポール©
現在は様々なメーカーから同様の商品が出ています。
硬さも様々ありますが、背骨周囲の筋肉をほぐすためにはやや硬めがお勧めです。また、体が慣れるまではハーフポールの使用もお勧めです。
ストレッチポールを使用したストレッチ①
- ①ストレッチポールの上に横になり、体を脱力させます。
- ②ポールの上で体を左右に揺らします。
ストレッチポールを使用したストレッチ②
- ①ポールを体に対して横に置いて、背骨の動きを作りましょう。
慣れると心地よくなってくるのですが、ストレッチポールの上で眠ったり長時間行うことは避けましょう。腰痛などの原因となり得ます。
首の調整方法
首の筋肉を剥がしていくと、このように神経がたくさん走っています。 これらの神経は脳神経に繋がっており、迷走神経と呼ばれます。 内臓の機能などにも深く関わっている神経で、私たちの生命維持を支えています。
筋肉が緊張すると、これらの神経を圧迫することになります。 ですから適切にケアをして、筋肉のこりやはりをとっていくことが大切です。
首の筋肉・筋膜ストレッチ①
手で反対側の頭の横を持ち、倒します。首の横が伸びるのを感じてください。伸ばしている方の方は床に下げましょう。
首の筋肉・筋膜ストレッチ②
やや斜め上を向きながら、首の筋肉を伸ばします。耳の後ろから鎖骨にかけてを伸ばすイメージです。同様に、方は床に下げて行いましょう。
首の筋肉・筋膜ストレッチ③
伸ばしている方の胸(鎖骨の下あたり)を空いている手で下に押し下げます。 その状態で顔を斜め上へ向けることで、筋膜も伸ばすことができます。
いかがでしたでしょうか。
定期的にどうぞトライしてみてください。写真では分かりにくい部分がありますので、下記YouTubeでも同様の内容を公開しています。
関連動画
まとめ
- ・発声前のウォームアップでは、神経系のつながりを強化している
- ・発声には全身の筋肉が関わっている
- ・特に発声と関連がある筋肉は、ストレスなどから張りやすい
- ・セルフケアを行うことで、更なるパフォーマンス向上につながる