第4回/(後半)リアル砂漠と東京砂漠〜島脇伴行がサハラで見たもの

表参道、銀座のパーソナルトレーニング専門ジム、ボディディレクターの島脇です。
今回は私も出場した、第32回サハラマラソンの模様を振り返る第4回目です。この記事はライターの山田洋さんに寄稿していただきました。

 

第4回/レース本番〜サハラ砂漠7日間の旅(後半)

 

生来の慎重派で、サハラ砂漠を走るなんて微塵も考えたことがなかった島脇トレーナー。普段はお客さんでもある森栄樹さんに話を持ちかけられ、森プロデュースによる「島脇プラン」を1年かけてこなしながら、砂漠仕様のウルトラランナーになんとか仕上がった島脇トレーナーは、いよいよレース本番を迎えた。

 

6ステージの250km。前半の3ステージを終え、いよいよメインディッシュのオーバーナイトステージ、そして、フィニッシュ!

 

スタート時はいつも集団

 

◆STAGEレース後半(第4ステージ〜フィニッシュ)

 

さあ、後半戦です。何と言っても目玉86.5kmのオーバーナイトステージですよね。そして、42.2kmと、最終日に7.7kmのチャリティ・ステージ。

 

島脇「オーバーナイトステージは長かったです。とにかく長かった。その一言ですね。
よく『道は迷わないの?』と聞かれるんですけど、ルートを示す旗が数百メートル置きに立っていて、迷うことはなかったです。それと前の人たちの踏み跡がありますから、それを辿ればやがて着きます(笑)」

 

森「86km単発のレースなら一気に走れたと思うんですけど、すでに3日間あってのこれですからね。オーバーナイトステージも朝8時とかのスタートで、制限時間が36時間あります。じゃあ、ゆっくりで!と思うかもしれませんが、スローすぎると暑い昼間の時間帯を2日に渡って走らないといけなくなるわけです。それは避けたいと思っていたので、悠長にも出来なかったですよ」

 

踏み跡を辿るとからか砂漠では一列になってしまう

 

島脇「森さんは途中20分くらいの仮眠だけで、そのままゴールされていましたけど、僕はチェックポイントで寝袋を出して2時間くらい寝ましたね。眠らないと回復しないですし、肉体的にも危ない状態だったし(笑)」

 

森「そう言えば島脇さん、景色を堪能するとか、『俺はサハラ砂漠を走っているんだ!』みたいにロマンチックな気分に浸っていなかったよね?」

 

島脇「おっしゃる通りで(汗)、自分の性格上、目の前にある困難に集中しちゃうんですよね。この足の痛みをどうやり過ごそうか、どうやって次のチェックポイントまでこの身体を運んで行こうか、とか自分だけの世界に入っていましたね。次から次へとトラブルが起きるんですよ。しかも、日本で経験したことないようなことの連続で、ずっとそれと向き合っていました」

 

森「でも、僕も完走することにこだわり過ぎていたのかもしれない。自分では余裕持って楽しんでいたつもりでいたけど、外国人とかバカなこととかして、レースそのものをエンジョイしていましたから」

 

前後に人がいて、迷ったり一人になることはなかった

 

最終日の全員参加のチャリティレースは7.7kmですから、実質5日目の42.2kmで順位も決まり、レースは事実上フィニッシュになるそうですね?

 

島脇「はい、その通りです。トップ選手もこの5日目までガチ走りになり、最終日のチャリティレースは、レース前のようなあのリラックスした雰囲気になりました」

 

森「この5日目の最後の10kmが、7日間でもっともしんどかったかもしれない」

 

島脇「それ、分かります!」

 

森「残りたった10kmだけど、意識が朦朧としていて、リタイアしていてもおかしくないくらいでしたね」

 

島脇「おそらく気が緩んだんだと思います。もちろん身体はボロボロなんですけど、心が前を向いていたから進むことができていて、とにかく完走だ!って決めていたから、残り10kmになった時にそれまで張り詰めていた気持ちが切れてしまったんじゃないかと思うんです」

 

森「もうゴールできると分かって、完全に完走した気分でいた。そのままゴールで完走メダルももらえますし、事実上のフィニッシュでしたから。最後まで集中していないとダメってことですね!(笑)」

 

チャリティラン前、日本人参加者と記念撮影

 

チャリティレースも終わったら、そのまま解散なんですか?

 

島脇「チャリティレースって、最後バスに乗り込むまでなんです。リュック背負って、7.7km走って、そのままバスにインして、再び5時間半のバス旅ですよ(笑)」

 

森「乾燥していたからか、バスの中は思ったよりも臭くなかったよね?」

 

島脇「もっと猛獣の匂いを想像していたんですけど、そうでもなかったですね。でも、さすがに足は臭かったですよ!」

 

森「だよね。麻痺していたのかな(笑)」

 

レース終わってバスに乗り込んだところ

 

◆社会復帰が困難になるほどの強烈な体験を終えて

 

レースが終わり、バスがワルザザード市内に着いて、ホテルで食事をとったそうですが、久しぶりのまともな食事はどうでしたか?

 

島脇「めっちゃ美味しかったですよ」

 

森「むさぼるように食べた記憶があります」

 

島脇「サラダでも、パスタでも、プチ栄養失調状態だったわけですから、何でも美味しく感じて、幸せな気分でしたね〜」

 

森「思えばですよ、塩気がなくって、どれも超薄味だったんです。パスタも茹で加減がひどくて、水分吸い過ぎてむくれた感じ。なのに、美味いんですよ! ガツガツ食べちゃって、翌朝お腹壊しましたから(笑)」

 

成田に着いてから最初に口にした日本食は何でしたか?

 

森「寿司です。成田から銀座の寿司屋に直行しました」

 

島脇「覚えてないなぁ……。実は、僕がサハラに行っている間に、我が家は引越しをしたんです。『行ってきま〜す!』の時は前の家で、『ただいま〜!』の時は新しい家。出発前は小学校卒業した後だった長男が、帰国したら制服着て中学生になっていたり、ここは本当に俺の家か?って戸惑っていました。その印象が強くて、最初に口にした日本食を全く覚えていないんです(笑)」

 

振り返ってみて、一番の思い出は何ですか?

 

島脇「テント仲間と過ごしたテント生活ですかね」

 

森「レースじゃないんだ(笑)。でも、僕もそうかもですね」

 

島脇「1つのテントを8人でシェアして期間中過ごすんですけど、いい仲間に恵まれました」

 

森「ほとんど初めましての人たちと肩がすれ違うほどの狭さで川の字になって、プライベートゼロの時間を過ごすんです。でも、不快な思いを全くしなかった」

 

島脇「みんなきついことをしているからか、日を重ねるごとに優しくなっていくんです。チーム感が生まれて、結束力が強くなるというか

 

森「一生の友と出会った感覚ですかね。素晴らしい体験でした」

 

8人で1つのテントの様子

 

後悔はありますか? 次はどんなチャレンジを考えていますか?

 

島脇「もっと体を鍛えておけば良かったかなと感じています。筋力とか体幹力が不十分だった。不安定な砂漠の上で、下りだったり十分に走れなかったのは、身体全体として筋力が足りていなかったと思うんです」

 

森「後悔はないですね。島脇さんを砂漠仕様に何とか仕上げられたと思うし、プランも計画立てて遂行しましたし。次ですか?そうだなぁ、いろんなレースに出てみたいですね」

 

島脇「定期的に山に行くこと、日常的に走ってみること、筋力アップを図ることを継続させて、身体を再構築したいです。その上で、まだ行ったことないレースに出たり、新しいチャレンジをしていきたいですね!」

 

第4回、島脇伴行がサハラで得たもの

 

島脇の情報一覧はこちらより

https://lit.link/shimachannel

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