表参道、銀座のパーソナルトレーニング専門ジム、ボディディレクターの島脇です。
今回は私も出場した、第32回サハラマラソンの模様を振り返る第2回目です。この記事はライターの山田洋さんに寄稿していただきました。
第2回/パリからモロッコ。そしてスタート
生来の慎重派で、サハラ砂漠を走るなんて微塵も考えたことがなかった島脇トレーナー。普段はお客さんでもある森栄樹さんに話を持ちかけられ、森プロデュースによる「島脇プラン」を1年かけてこなしながら、砂漠仕様のウルトラランナーになんとか仕上がった島脇トレーナーは、日本を離れ、パリのシャルルドゴール空港に降り立った。
森「1年を通じてモチベーションを作り、目標を立て、プレッシャーを与えて、危機感を煽ってきました(笑)。東京はサハラとは環境が違うので予習というより、距離に慣れる、忍耐力をつける訓練をしてきたんですけど、ここまで来たら楽しむぞ!という気持ちでしたね」
島脇「集合場所は、シャルルドゴール空港ターミナル3。一般の人たちとは明らかに違ったザックを背負った人が続々と集まって来て、テンションが上がったのを覚えています」
毎年4月に南モロッコで開催されるサハラマラソン(Marathon des Sables)は、世界中から1,300人もの”物好き”が参加する。直接現地に行く参加者を除いて、多くはパリに集合し、そこから一団となって現地に向かう。
島脇「シャルルドゴール空港に集合して、そこから全員でチャーター機(4台)でモロッコのワルザザート空港へ向かいます。スタッフも700〜800人くらいいるので、大集団でしたね」
ワルザザートは、モロッコ中部、アトラス山脈の南側に位置し、モロッコのサハラ砂漠観光の入口となっている人口6万人ほどの小都市で、標高1,151m。交通の便が比較的よく、砂漠の雄大な光景が広がっているため、「アラビアのロレンス」「スター・ウォーズ」「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」などの映画のロケが行われた地でもある。
島脇「ワルザザート空港に着くと、現地組と合流して、そこからスタート地点までバス移動でした。5時間半ほどでサハラ砂漠の入り口までスタッフも入れてバス30台ほどが連なって揺られて行くんですけど、観光気分でいましたね」
現地に入っても、2泊は走らなかったという。
島脇「初日は食事して寝るだけです。この食事も主催者側が用意してくれていて、すごくちゃんとしているなぁという印象でしたね。非日常な環境でしたから、ワクワクが止まらないと言うか、独特な高揚感もあって、変なテンションでした(笑)」
現地到着2日目は、メディカルチェックと荷物チェックが行われた。
森「参加者の人数がハンパないですからね、丸一日掛けて全員のメディカルと荷物のチェックに費やされました。この日はスタート前日なわけですけど、とてもリラックスしていて、テント仲間たちとの会話を楽しんでいましたね」
島脇「まだこの時は“戦場”には出ていないわけですから、あとで何が起きるか分かっていないというか、リラックスムードに浸りながら、思い返すと『舐めてた』なと(笑)」
このレースの出場資格は2つ
16歳以上。ただし、18歳未満は、両親か保護者の同意書が必要
大会本部が適正と認められる健康診断書および心電図を提出できる者
島脇「健康診断書は、心電図など信頼している神谷町クリニックの臼井先生に受けました。毎度のチェックなので病院ではなんなくクリアといったところだったんですけど、出発前日に私は引越しもあった関係でバタバタしていて、破傷風の注射を受けずにいた事が不安要因でした」
森「大会開催時の現地平均気温は35~40℃くらいで、日中は50℃を超えることもあります。一方で、明け方には18℃位まで下がるんです。日本と違って湿度が低いので、日本の夏独特の蒸し暑さというより、気温のわりにはカラッとしているんですけど、日中の高温への対処と1日の気温差への順応が求められ、砂漠ならではの過酷な環境を自分でマネージメントする力が試されます」
このレースは、レース中の食事はすべて参加者自身が用意。7日分の食料や飲み物、その他、寝袋、炊事道具、懐中電灯、コンパス、衣服、薬など諸々の必要な荷物をバックパックに入れて背負う。島脇トレーナーは実際どういう装備だったのか、解説してくれました。
島脇「まず、大会本部が指定する持ち物があります。レース中の食糧は、1日最低2000キロカロリー分とされ、コンパス、シグナル用の鏡、警告用の笛、寝袋とアルミ製のサバイバルシート、毒抽出用のスネークポンプ、消毒剤などです」
- ①リュック(登山用)、『GUIDETTI(グイディッティ)』のポール、寝袋、シュラフマット、ウエストボトルポーチ、帽子とネックガード
- ②プロテインパウダー、CCDドリンクパウダー、麦茶パウダー
- ③カップ麺、無印のカレー、アルファ米、柿ピー、コーンスープ(シルバーのやつ)、ドライフルーツ、ドライチップス、ミックスナッツ
- ④アミノ酸、その他サプリメント、ビタミン剤、亜麻仁オイルカプセル、MCTパウダー
- ⑤エナジージェル(アスリチューン)、ナッツ、練り梅
- ⑥ライトと予備電池、ライター→、ナイフ、鏡、安全ピン10本、サングラス、チタンマグカップ、エマージェンシーシート
- ⑦ファーストエイドキット、保湿クリーム&リップクリーム、携帯ウォシュレット、日焼け止め、目薬、消毒クリーム
森「荷物の重さは個人差がありますが、装備全てで11kgほどだったかなぁ、それに水が3kg追加になるのでスタート時は14kg。島脇さんは?」
島脇「僕も同じ14kgでした。でも、森さんはシャンパンを持っていたじゃないですか!」
森「ゴールで飲もうと思って。でも、初日でその重さにやられてしまったので、すぐに飲んじゃったんですけどね(笑)」
島脇「コースの地形は砂丘、干上がった川や湖、石がゴロゴロした丘など変化に富み、最大の山場は、大砂丘超えとオーバーナイトステージです。ステージレースなので、各ステージは遅くとも12時間以内に走り切る必要があって、オーバーナイトは34時間が制限時間でした」
第1ステージ:34km
第2ステージ:39km
第3ステージ:31.6km
第4ステージ:86.5km(オーバーナイトステージ)
第5ステージ:42.2km
第6ステージ:7.7km(チャリティ・ステージ)
さあ、いよいよスタート!1年かけて仕上げてきた島脇トレーナーと森さんの挑戦が始まります。
第3回、サハラで経験した7日間その1
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