『メタボリックシンドローム(以下、メタボ)は体の健康に良くないことは分かっている。今回の健康診断でも医師から「コレステロール値と、血圧が上がってきているので、今の内から改善する必要があります」と言われている。このままだと健康上の問題で仕事に支障をきたす可能性もあるし、見た目も数年前に比べて明らかに太ってしまった。運動や食事制限が必要なことはなんとなくイメージできるけれど、具体的に何から取り組めば良いのかが分からない。』
この記事では、上記の疑問に答えます。
まず、メタボの基準となる数値を確認しましょう。
厚生省が以下のように説明しています。
引用 2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同してメタボリックシンドロームの診断基準を策定しました。内臓脂肪の蓄積があり、かつ血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れている状態を指します。
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット)
つまり、内臓脂肪型肥満に加え、今現在、既に症状が進行している状態 ・血液中の脂肪量が多い(ドロドロ血) ・血圧が高い(血管に負担がかかっている) ・高血糖(糖尿病予備軍) この状態を反映する言葉として「メタボ=メタボリックシンドローム」という言葉が浸透しています。
メタボになると何がいけないの?
では、メタボになると体の健康にとって、どのような不具合が生じるのでしょうか。 それは、内臓脂肪型肥満となると、他の合併症を引き起こし易くなり、最終的には死に繋がる、心筋梗塞や脳卒中になるリスクが上がるということです。
内受容感覚(自分の体内で起っている事を把握する感覚)が優れている方は、体の疲労や、筋肉の凝り、睡眠の質が低下、などといった不定愁訴を感じることができます。それ自体も快適に日常生活を過ごすには問題となるものですね。
また、前述したように、見た目もお腹がぽっこり、顔色もスッキリしない。そして、社会的にも肥満を放っておくことは、もちろん体質的に改善されにくい人はいるものの、例えば仕事上では肥満バイアスがかかり、周りの協力を得るなどの際に負の方に働く可能性も考えられます。
メタボの改善方法
ここからは、どうすればメタボを改善できるのかという真の部分について記載します。 それはとても大きく分けて2つのアプローチがあります。
1つ目が食べ方
2つ目がカロリー消費
とてもシンプルに考えて、「余分なものや量を食べないこと」と「カロリーをより多く消費すること」これだけで大きな効果が期待できます。
具体的なアプローチの前にとても大切な事があります。これを決めることで、途中のドロップアウトする確率がグッと減ることになります。私も現場で指導する上でとても重要だと感じていることです。
私のトレーナー経験の話になります。時々、意志がとても強く、一度やると決めるとやりきれる方がいます。ただ、7人の内1人くらいでしょうか。その他の方は定期的に食事のサポートを行わなければ、食事のプログラムを行い続け、しっかりとした減量効果を出すことは難しい。 この記事をみて、取り組んでみようという場合、1人だけで行おうとしてもなかなかモチベーションを保つ事が難しいと感じる方のほうが多いことと予想できます。
そこで、意志を保つために実施していただきたいこととして、「知人にメタボ脱出を宣言する」を試してみてください。 なんだ、そんな事か、と思われるかも知れませんが、効果はあります。周りに宣言することで、心理的に、「約束をした」という状態になりますから、それを破ることに抵抗が生まれるので、これが丁度良いストッパーとなります。とは言っても、体調が良い状態で行う事が前提となりますので、無理は決してしないようにお気をつけいただきたいです。
食べ物へのアプローチ(内臓脂肪を減らす)
ビタミンやミネラルが足りていないと、エネルギーを燃やす代謝が低下し易くなります。ただ、一つ一つの栄養素を自分の体で足りているかどうかを調べる事はなかなか難しい(尿検査で調べられるように言っているメーカーもありますが、尿検査ではビタミンとミネラルの充足度を測るには正確性と信憑性がまだ高くありません)ですので、ここではシンプルに体重が増加する多くの原因である糖質の食べ過ぎについて話をします。
世間で低炭水化物ダイエットや、低糖質、という言葉を良く耳にするようになりましたね。ここで気をつけたい事は、体重が落ちてウェストのサイズが落ちた(内臓脂肪が減ったと予測できます)のは良かったけれど、その状態を保つ炭水化物の適正量が分からず、結局リバウンドをしてしまったというケースが意外と多いものです。せっかく意識を高めて食事制限に取り組んだことが水の泡になってしまいます。
脂肪を減らす時は、必要なタンパク質と、ビタミン及びミネラル(野菜、海藻、キノコ、大豆など)を食べながら、主食(炭水化物)を極力減らす事で、約8割の方は脂肪が落ちます。以下の注意点に留意しながら行うことが大切です。
*注意点
・2ヶ月以上、全く主食を食べないという極端な糖質制限は行わない。繊維質不足など、体にとってダメージとなる可能性があります。
・低血糖の症状(フラフラする、集中力が出ない)がある方は炭水化物を減らしすぎない。
・60歳以上の方は主食を制限することで、脂肪と同時に筋肉が減ってしまうリスクが伴いますので、本当に内臓脂肪が多いのかどうかを医療機関などで検査していただくことをお勧めします。
・低カロリー状態を勧める脂肪燃焼方法ではありません。脂質もしっかりと確保してください。肉と魚の油も食べる。オリーブオイル、オメガ3系のオイルも適量確保する。
糖質の食べ過ぎの動画も作っています。 これを見ていただけると、適切な糖質の摂り方をご理解いただけます。
運動でのアプローチ(内臓脂肪を減らす)
運動を行うことで、カロリー消費が増えることはイメージできます。これはランニングなどの有酸素系と周知されている運動種目だけでなく、筋トレと呼ばれているウェイトトレーニングでもカロリー消費効果があります。運動の素晴らしいことは有酸素トレ、筋トレそれぞれの運動によって、運動を行っている時間だけでなく、運動後の一定の時間もエネルギー代謝が上がるという事が分かっているからです。
更には運動によって、細胞のエネルギーを作る「ミトコンドリア」が活性化され、それによってもエネルギー代謝が上がることが分かっています。 さらに、メタボを解消する過程で既に「体が軽く感じる」「心理的にポジティブになった」などの良い効果が期待できます。
運動に慣れていない場合は週に2回の運動から始め、慣れてくると週に2〜5回ほど行う事が理想です。(十分な効果を得る場合の運動回数です) 1人で行う事が億劫だと感じる方は、友人と一緒に行うことや、運動サークルに入会するなどの方法もあります。専門コーチの指導を受けながら行いたい際は、経験のあるパーソナルトレーナーに依頼するという方法もあります。ご自身の考えに合った方法をチョイスされると良いですね。
手軽に「家で運動を簡単に行いたい」という方は下に私が撮影した動画を貼り付けましたので、こちらも参考にしてみてください。
*注意点
・普段から運動に慣れていない場合、いきなり30分ランニングをする。筋トレを全力で行うなどの急激な負荷で行わないように。
・空腹を感じている時に運動は行わない。(低血糖の症状が強く出る恐れあり)
・筋肉痛が出た際は、それが治るまで次の運動を行わない。もし、行う際はウォーキングのように負荷の低い運動に限定する。
・夜間のランニングは治安上の安全面に加え、道路状況を把握できず、転倒の恐れもありますから、2人以上で行うようにしてください。
自宅で簡単に取り組むことができる6分48秒の運動動画です。 長時間運動を行えない方も、まずはこれから取り組んでみてください。
メタボを改善するとこんなにも良いことが
周りのお友達や同僚に「メタボを脱出する」と宣言し、それが実現されると、それはもう周りで噂が広がります。ちょっとした人気者になります。「どうやって痩せたんですか」「意志が強いですね」というように自分への評価も上がることになります。実際、私の周りでもこのような方がたくさんいます。
健康面でも内臓脂肪は体内に慢性的な炎症反応を起こしますので、これが改善されることで
・睡眠の質向上
・筋肉の凝りの軽減
・体が軽く感じる
・心理的にも幸福感を感じ易くなった
・ストレスに強くなった
などなど副次的な効果が期待できます。
これまでお腹に着けていた重い荷物をおろしたような感覚になり、新しい体になった。と心からスッキリとする経験になることと思います。
最後にメタボ改善を専門家の指導のもとしっかりと行いたいという方は、私が運営しているパーソナルジムが表参道にありますので、そちらのカウンセリングを受けていただくといった選択肢もあります。
詳細は下記リンクをご覧ください。