リアル砂漠と東京砂漠〜島脇伴行がサハラで見たもの

表参道、銀座のパーソナルトレーニング専門ジム、ボディディレクターの島脇です。
今回は私も出場した、第32回サハラマラソンの模様を振り返る第一回目です。この記事はライターの山田洋さんに寄稿していただきました。

 

第1回 きっかけと準備編

 

サハラ砂漠を走る。一般的には、観光で訪れる場所として、いや、ほとんど多くの人 は写真やテレビ番組で目にする程度が関の山だと思われる、辺境と も言える地を「走る」なんて、おおよそ考えつかない。仮に夢想し たとしてしても、実際に走りに行くことは、まずないだろう。銀座と青山にパーソナルトレーニングジムを運営している島脇トレーナーはこの春、サハラ砂漠を走った。観光のついでに、記念受験のように軽くね!というわけでもなく、250kmを7日間で走破する過酷なレースに参加。

 

サハラ砂漠250kmのレースに出場した
島脇トレーナー

 

どうしてサハラ砂漠を走ろうと思ったんですか? そもそもの質問に島脇トレーナーは苦笑いを浮かべ、恐縮した様子で話し始めた。

 

島脇「本来の僕は、そんなチャレンジャーな性格でもなくって、むしろ、石橋を叩きすぎるくらい慎重派でしてね。森さんから誘われたんです(笑)」

 

島脇トレーナーをサハラ砂漠に誘った森栄樹さんは、普段から島脇さんにパーソナルトレーニングをしてもらっている、いわばお客さんだ。

 

森「僕もね、サハラを走るなんて考えたことなかったんです。でも、ランニング仲間から『サハラのレースは、歩いても完走できる』と聞いて、俄然興味が湧いて、道連れ的に島脇さんを誘ったんですよ」

 

島脇「ノリでしたね。サハラを走る大会があることは知っていましたけど、自分が走るなんて考えたこと もなかった。『歩いても完走できる』に騙されましたね(笑)」

 

サハラマラソン(Marathon des Sables)
毎年4月に南モロッコで開催される約250kmのウルトラマラソン。6ステージ7日間で行われ、おおよそマラソン5回半分もある。地球上で、最も過酷なレースといわれ、1986年に初めて開催された。今年で32回を数える。

 

「サハラロス」の只中でのインタビューだった

 

島脇「レース中の食事はすべて参加者自身が用意しなければなりません。7日分の食料や飲み物、その他、寝袋、炊事道具、懐中電灯、コンパス、衣服、薬など諸々の必要な荷物をバックパックに入れて 背負いながらマラソンをします。水とテントだけは運営側から提供されます」

 

調べてみると、こんな”とんでもエピソード”があった。
1994年のレースでのこと。イタリア人参加者が砂漠の嵐で道を見失い、砂漠を10日間さまよい、13kgも体重を落としてしまった。彼は、灼熱の砂漠をさまよい、コウモリを捕まえ生き血を飲んで渇きをしのぎ、果ては水が尽きた事に絶望し、手首を切り自殺まで図ったが、脱水症状により血液濃度が濃くなりすぎて血が流れ出てこなかった。その後彼は、遊牧民の一団に発見され救助された。

 

途中行方不明者が出た場合、主催者側がヘリコプターで捜索すると聞きましたが、どう考えても「サハラ砂漠を走る」なんて常人じゃ発想すら浮かばないです(笑)。モチベーションはどこから生まれたんですか?

 

島脇「退路を断つと言えば格好いいですが、レースの1年前に申し込んでしまったんです。この大会は、世界各国から1300名もの人が集まる人気レースなんですけど、その年のレースが終わるとすぐに翌年の エントリーが始まるので急いでエントリー。お金も払っちゃったので、もう、やるしかない!って (笑)」

 

島脇トレーナーを「歩いてでも完走できる」と誘った森さん

 

あまりに非日常すぎるチャレンジを決断する時は、ノリというか、勢いも大切かもしれない。やるしかない!とは言え、何から始めたのだろうか? 誘った張本人の森さんは言う。

 

森「僕はある程度走っていたので、1年後に向けてのイメージはありました。でも、島脇さんはそうではなかった。街中を走るフルマラソンではなく、砂漠を250kmですから、1年掛けて島脇さんを砂漠仕様のウルトラランナーに仕上げないといけない、いつもと違って僕が島脇さんをボデ ィディレクターしたわけです(笑)」

 

森プロデュースによる島脇プランはこうだ。
5月 『星の郷八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン』(人生初のウルトラ)→ 完走
6月 『スパトレイル72km〔四万to草津〕2016』(初のウルトラトレイル)→ リタイア
7月 『OSJおんたけウルトラトレイル100K』 → 完走
8月 『立山登山マラニック65km』 → 悪天候のため途中打ち切り
9月 なし
10月 『ハセツネ(長谷川恒男)カップ 日本山岳耐久レース71.5km』 → 完走
11月 『OMM / Original Mountain Marathon オリジナルマウンテンマラソン』 → 完走
12月 『伊豆トレイルジャーニー71.7km』 → 完走
1月 『石垣島2泊3日の合宿』
2月 なし
3月 『湘南海岸トレーニング』『サハラ経験者のアドバイス会』

 

とにかく辛かったと振り返る野辺山高原100km

 

島脇「5月の野辺山は辛かった…。100kmもの距離を刻むことがホント大変で、100kmって長いなぁと痛感しました。次のスパトレイルでは下痢もあって20kmでリタイアしたんです(笑)。胃腸がおかしくなったら何も出来ない経験をしました。7月のおんたけウルトラ100は、天気が悪くて寒くて、前半でかなり不調だったんですけど、途中から復活して、頑張ればなんとかなるんだという小さな手応えをつかみましたね」

 

「毎月の連戦が重なり、さすがに9月はお休みしました」と島脇トレーナー。その後もレースや自主練を続けていく。

 

島脇「ハセツネは前後にランナーもいるし、渋滞もあったりで、自分のペースで走れなかったです。石垣島2泊3日の合宿は、飛行機だけ取って、終始行動をしながらテント泊するサハラを想定した自主合宿で、砂地は力が加わらず走れないこと、その日の夜に次の日に向けた準備をすることを学ん だ合宿でした」

 

湘南海岸のビーチ沿いを走ってみたものの、パウダースノーのように砂粒が細くサラサラしているサハラの砂と日本の砂の質が違うことなど、”日本とサハラ”という環境の絶対的な違いを事前にテストしていくことは難しかったよう。その中でも参考になったのは、サハラ経験者のアドバイスだったそうだ。

 

宿を取らずに野営した石垣島2泊3日の弾丸ツアー

 

島脇「お米が食べられなくなるという食のこと、足がむくむことへの対策、シューズのサイズは1〜1.5cm大きい方が良いよというアドバイスは参考になりましたね。でも、砂漠経験者はウルトラやトレイルランナーと雰囲気が違うんです。自己流で、ランナーでもなく、登山家でもなく、ジャンルの違いを感じました。だって、新婚旅行でサハラのレースに出る人もいたりで、バックパッカーのような雰囲気が近かったかな」

 

森プロデュースによる「島脇プラン」をこなし、なんとか砂漠仕様のウルトラランナーに仕上がった島脇さんは、森さんと一緒 に集合場所のパリのシャルルドゴール空港に降り立った。
第2回、パリからモロッコ。そしてスタート

 

島脇の情報一覧はこちらより

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